日本と海外では、文化の違いがありますが、言語的な観点から見ても大きく文化が違うのはご存知ですか?
この違いを知らないと、英語は間違っていないはずのに「日本語的な感覚で英語を話したら、通じなかった!」ということが起きるかもしれません。
子供をバイリンガルに育てたいと思っているパパママも、普段から少しだけその違いに気を使って子供に接すると、グローバルな感性を身につけるのに、役に立つかと思います。
まずは、日本と海外の言語の違いを知っていきましょう。
日本と海外の言語の違い
例えば、子育て中によくあるこんな場面を例にします。
この一文を聞いて、ママは「子供はトイレに行きたいんだ」という意味を理解できますよね。
では、英語だったらどうでしょうか?
子供は「トイレに行きたい」という意思を伝えていないので、ママに本当の意味が伝わらない可能性があります。
なぜこのような違いがあるのかというと、言語的な文化の違いがあるからです。
その言語の文化の違いは、大きく2つに分けられます。
- 高コンテクスト文化
- 低コンテクスト文化
詳しく説明していきます。
日本は「高コンテクスト文化」
「以心伝心」とか「空気を読む」なんて言葉がありますが、日本では思いや考えを100%言語化しなくても、文脈から意図をくみ取って、相手に伝わりやすい文化であると言えます。それを高コンテクスト文化(高文脈文化)といいます。
高文脈文化のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式であり、その最極端な言語として日本語を挙げている。
出典:Wikipedia
日本語によくあるこんな会話
Aさん:明日一緒に食事に行きませんか?
Bさん:明日は、仕事がありますので…。
この文章は、日本人なら違和感なく断られたと分かる会話なはずです。
でも、よくみてください。直接的な断りの言葉がありません。
Aさんは「行きませんか?」と質問しているのなら、Bさんは「はい、行きます。」か「いいえ、行きません。」で答えた方が文法的には正しいですよね?(英語のテストなら、Yes/No以外の回答だと減点されそうですね)
実はBさんの返答には、隠された言葉があります。
明日は、仕事がありますので…(都合が悪くて行けません)。
日本語のマナーとして、相手を残念な気持ちにさせてしまいそうな時や、失礼にあたってしまうような時は、はっきりと言わずに濁した方が良いとされています。
他にもあります、歯切れの悪い断り方。
A:お菓子はいかが?
B:ありがとうございます。でも、もうお腹がいっぱいですので…(要りません)。
A:アンケートにご協力をお願いします。
B:急いでますので…(出来ません)。
A:おい、鈴木、今夜一杯どうだ?
B:部長、すみませんが、コレがコレで…(奥さんが妊娠中なので飲まずに帰ります)。
(本当にいうのかな?笑)
下記のような会話が成り立つのも、高コンテクスト文化の日本だからです。
A:お腹すいたなぁ~。(ご飯を食べたい。)
B:まだ11時よ!(ランチには早すぎるわ!)
A:今日朝ごはん食べてないんだ。(お腹空いてるから早めに食べたい。)
B:じゃどこ行く?(OK、行きましょう。)
では、もしこの会話をそのまま英語に直訳したら、どうなるか。
相手には伝わらない意味不明な会話になるんじゃないでしょうか。
海外の多くの地域は「低コンテクスト文化」
日本の文化とは逆に、明確な表現でストレートに言わないと伝わらないような文化を低コンテクスト文化といいます。
欧米などの多くの国や地域では、この文化であることが多いです。
低文脈文化のコミュニケーションでは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる。最極端な言語としてはドイツ語を挙げている。
出典:Wikipedia
本当にあった低コンテクスト文化の例
これは、スペインに留学していた日本人の友達の体験談です。
スペインの本屋にて
友達:○○の本はありますか?
店員:はい、ありますよ。……?
(※この会話はスペイン語です)
このスペインの店員さんは「ありますか?」という質問に対して「はいあります。」もしくは「いいえありません。」で答えたのみです。
確かに言葉通りの対応で、間違いではありません。でも日本人の感覚からすると、ちょっと物足りないですよね。
日本だったら「ありますか?」と聞かれれば、その本が買いたいんだなと推測ができ、店員さんはそれさえ聞けば本を探しに行ってくれるでしょう。
「私の気持ち察してよ!」は通じない
これは私が10代の若かりし頃、異文化というものに初めてぶち当たったお話です。
ルーマニア人の友達ダニエルと約束があり、待ち合わせ場所の彼の職場に行ってみると、そこにはダニエルはいませんでした。
私「ダニエル知らない?約束があるんだけど。」
ダニエルの同僚「今日は来てないし、バスもないからもう来ないと思うよ。すっぽかしは日常茶飯事だから気にしないで。」
ダニエルに腹が立ち、ルーマニア人の中にポツンと日本人状態で、あまりのショックで涙が出てきたのでした。(あぁ、私も若かった!笑)
ダニエルの同僚「どうしたの?」
私の心の声(この状況見て、私の気持ちくらい分かるでしょ!鈍感!)
しかし、私の無言の訴えもむなしく、全然理解してもらえなかったので、「ダニエルにすっぽかされて、怒ってる。」と伝えると、「そう言うことだったのか!」とやっと分かってもらえました。
高コンテクスト文化と低コンテクスト文化の背景
今でこそ日本もグローバルな時代になってきましたが、日本は島国なので、異文化というものが伝わって来にくいという背景が元々ありました。
この島の中で独特の文化が発展し、人々は共通の常識の中で、似たような価値観を持って生活してきたと言えます。
そのことから、日本では言葉で言い表さなくても、相手の意図が何となく分かりやすい環境であり、高コンテクスト文化が発達したと考えられます。
では、海外ではどうでしょう?
国によって様々な背景がありますので、一概には言えませんが、移民が多かったり様々な民族が共存しているような場所では、共通する常識や価値観は日本ほどないと言えます。
相手に伝わるよう事細かに言葉で説明したり主張する必要がありますし、聞き手は相手の言葉を先読みせずに、しっかり聞き取り受けとる必要があります。
日本と海外の違いを知ってグローバルな子に育てよう
日本と海外の違いをせっかくですので、子供をグローバルに育てるために活かしてみましょう!その2つのポイントはこちらです。
- 自分の意見をしっかり言語化するくせをつける
- 日本文化「おもてなしの心」を大切に
日本と海外の文化を良いとこ取りしてしまいましょう!
【海外の文化】気持ちをしっかり言語化
子供と言葉でコミュニケーションを取るときに、こんなことになっていませんか?
この場合は、もう少し言葉が欲しいですね。
子供の意図が分かったとしても、子供の気持ちをはっきりと言語化するワンクッションを入れるといいですね。
【日本の文化】察して思いやる「おもてなし」
日本の文化で素晴らしいなと感じるのは「おもてなしの心」です。
- 相手の表情や行動などから、欲しいものを想像する
- 先回りして、用意しておく
- 頼まれた仕事を、それ以上の出来で仕上げる
など、言語で表されたこと以上の情報をくみ取ることが得意なのが、日本の文化です。
子供をグローバルに育てることは、決して日本を捨てることではありません。
日本の素晴らしい文化もしっかり身につくといいですね。
まとめ|日本と海外の違いを上手に取り入れてグローバルキッズを目指そう
日本では当たり前すぎて気づかなかったことでも、海外と比べてみると大きく違うことがあり、これがカルチャーショックになったりします。
バイリンガルに育てるためには、英語などの言語そのものだけでなく、文化的な背景にも目を向けると、子供のうちから国際的な感覚を養えます。