「楽しみながら言葉を習得すると、そうでない場合に比べて、英語を吸収できる効果が高い」と言語学的にも証明されていることをご存知ですか?
「英語を楽しむこと」は、英語を効果的に習得するために、実はかなり重要なポイントなんです。
今日は言語学の話も交えながら、英語を楽しむことの大切さをお伝えします!
- 英語を楽しむことの大切さ
- 言語学的な裏付け
バイリンガル育児成功への近道「英語を楽しむこと」
英語を楽しむと、そうでない場合と比べて、英語の習得に効果があります。
決してモヤっとした話ではなくて、言語学からみても、それが立証されています。
「情意フィルターの仮説」とは?
言語学者のクラッシェンは、第二言語習得に関して「情意フィルター仮説」を提唱しました。
情意フィルター仮説とは、不安や恥ずかしさ、やる気のなさなど、ネガティブな心理状態が言語習得に悪影響を及ぼすとされる説です。
情意フィルターの仮説(the Affective filter hypothesis)とは,Krashenが提唱した言語習得に関する5つの仮説の1つです。簡単に言えば,「不安感の低い者ほど言語の習得は進む」というものです。学習者は学習項目の中の感情的に受け入れたいものだけを無意識的に選択して学んでいます。情意フィルターは学習者が十分な動機をもち不安がない状態のときにその働きが押さえられます。
参考:情意フィルターの仮説
つまり「情意フィルター」という壁が高くある心理状態だと「間違えたらどうしよう」という不安などから積極的になれませんが、その壁が低くて「心がオープンな状態」であると効果的に言語をグングン吸収できるようになります。
情意フィルターを低くするためには、言語に対しての「自信」と「動機付け」がとても重要です。
- 情意フィルターが低い状態=不安がなく積極的な心理状態
情意フィルターを低くするために必要なこと
- 「自信」…不安がなく、「できる」という自己肯定感
- 「動機づけ」…「こうなりたいから頑張る!」というモチベーション
情意フィルターを低くする「自信」
自信を持っている子どもは、様々なことに対してチャレンジ精神旺盛で、どんどん吸収していきます。そのような心理状態は、言語習得にとっても有利に働きます。
自信を持ってチャレンジできるかできないかで、得られるものも大きく変わってくることはよくあります。
不安のある状態では
慣れない場で発言することって、とても緊張しますよね?
普段なら自分の意見を十分に伝えられたはずなのに、不安や緊張がある場面で力が100%発揮できないことがあります。
相手が大人数だったり、知り合ったばかりの人だったり、外国人だったり、自信のない英語で話さなければいけなかったり。
この状況が「英語に対して消極的になってしまう原因」の一つとなり得ます。
情意フィルターを低くする「動機付け」
「動機づけ」とは、モチベーションとも言い換えられます。
英語をやりたい動機や理由は、子ども自身がお持ちですか?それがあるかないかで、英語に対するモチベーションに違いが出てきます。
ある程度成長して自我が芽生えてきたら「○○になりたい!」という夢が出てくるかもしれません。子どもがまだ小さければ、まだ夢はなくても当然ではありますが「ただ好きで楽しいから英語をやりたい!」それだけでもいいと思うんです。
子どもの「英語がやりたい!」という動機付け、重要です。
親に敷かれたレール
おうち英語を始めた理由は、ご家庭ごとに様々あると思います。
- グローバルな視野をもつ子に育って欲しい
- 英語を習得して、将来の選択肢を増やして欲しい
- 世界を舞台に活躍して欲しい
こんな風に子どもになってくれたらいいなというのは、親心だと思います。
ただ忘れてはいけない一番大切なものは、子ども自身の気持ちです。親の敷いたレールに乗せているだけで、子供の気持ちが置いてけぼりになっていませんか?
英語を楽しむと好循環が生まれる
英語を楽しむことは、次のような良い好循環を生み出します。
- 英語が好きになる
- 子どもが自ら率先して英語をやりたくなる
- 英語を継続しやすくなる
英語習得の成功への道
英語を習得するためには、長い期間継続することが大切なポイントで、継続ができるかできないかが、成功か失敗かの分かれ道になります。
バイリンガル育児の成功への道は「楽しむこと」が必須条件といっても過言ではありません。
英語を楽しむためにやってはいけないこと
逆に「楽しむこと」を阻害してしまうような、やってはいけないことを挙げてみます。
NG1:英語をイヤイヤやらせる
その気持ち、分かります!せっかくの教材ですから、できれば挫折したくないですよね。
しかしその焦る気持ちが、子どもに圧力をかけているようなら、それは問題です。
将来あえて英語と関わらない道を選ぶなど、親心とは真逆の道を歩んでいくことになるかもしれません。
タスクにこだわりすぎないこと
「毎日これをやる」と決めていても、その日によって子供の体調や気分は違うもの。
そんなときは臨機応変に、違うものにシフトしたり、お休みするなどして、気分をリセットすることが大切です。
嫌な気持ちのままやり続けるのは、タブーです。
NG2:細かく訂正する
子どもの英語の間違いを、良かれと思って訂正したり、できるようになるまで無理にリピートさせたりしていませんか?
それだと、子どもが楽しく英語をやっていても、やる気を削いでしまったり、間違いを恐れて消極的になってしまう可能性もあります。
間違えたって全然気にしない精神、きっと将来役に立ちますよ!
英語を楽しんでモチベーションを上げる方法
おうち英語をしていると、外の世界と離れてしまい「お家では日本語も通じるんだし、何で英語をやらないといけないの?」と英語の意義が見いだせなくなってしまうことがあります。
では、どのように子どもの気持ちをやる気にさせてあげられるでしょうか?
子どもにはそれぞれ個性もありますし、欲求も違いますので、一番はご自身のお子さんの求めているものを見つけてあげることだと思いますが、ここにいくつかヒントを挙げてみたいと思います。
「英語しか通じない」経験をする
英語の意義が感じられないと、それだけでモチベーションは上がりませんよね。でも「英語しか通じない世界があるんだ!」ということを知ると、英語をやりたいという動機付けにつながります。
- イベントなどで英語のネイティブスピーカーと交流し、英語体験の機会を作る
- 英語の教室やオンライン英会話などで、英語を話す機会を作る
- 短期留学や旅行などで、英語の世界を知ってもらう
そんな非日常の経験をすると、英語に対してのモチベーションが変わってくるかもしれません。
娘はワールドワイドキッズのワークショップで外国人の先生と交流することが大好きなようで、そういった機会から「もっと英語が話したい!」と思ってもらえたらいいなと思っています。
今後機会を作って、実際に海外へ行って英語に触れる体験もさせてあげられたらと思います。
英語だけを話すお友達を作る
「お友達ともっと仲良くなりたい」という気持ちから、子どもが積極的に話すようになることがあります。
- 近くに外国人のお友達がいる
- 国際交流の機会がある
- インターナショナルスクールなどのイベントに参加する
- ホームステイやホームビジットの受け入れをする
など、もっと英語でコミュニケーションをしてみたい!という気持ちを持つことも、とても有効です。
突然英語力が伸びた!友達の子どもの体験談
私の友達から聞いた、友達の娘さんのお話です。
家族構成
パパはアメリカ人、ママは日本人で、ハーフのお子さんが2人(話の当時、姉5歳くらい、弟2歳くらい)います。日本で暮らしていて、一般的な保育園に通い、家庭ではパパは英語、ママは日本語という環境で生活していました。
上のお姉ちゃんの英語能力
上のお姉ちゃんは、パパの英語は聞いて理解はできていましたが、返ってくる言葉が日本語だったり、なかなか英語のアウトプットに繋がらなくて、英語力が伸び悩んでいたそうです。
アメリカでの経験がもたらした効果
ある日、パパのアメリカの親戚のところに初めて遊びに行くことになりました。アメリカの親戚は日本語を話せる人はいないのでどっぷり英語の環境の中で、同世代の子どもと遊んだりして過ごしたそうです。
帰国後、一番の変化があったのが上のお姉ちゃんでした。英語のアウトプットが劇的に増えたのです。生まれてからパパによる英語のインプットはたくさんある環境だったので、このアメリカでの体験がきっかけとなって、アウトプットが溢れだしたのだと思います。
パパの見解
パパ曰く、「今までは英語をやる意味が、彼女の中で見出だせてなかったから、積極的にアウトプットをしようとする気がなかったんだと思う。でもこのアメリカでの経験から、自分のルーツを発見し、英語を話す世界を知り、英語に対しての気持ちが変わったんじゃないかな。」と言っていました。
子ども自身のモチベーションの大切さ
この友達の話から「子ども本人のやる気って侮れないんだな」と感じました。親がどれだけ良い環境を用意して、良い教育を与えていたとしても、子どもにとって関心のないことであれば、絶大な効果は期待できないんだと思います。
まとめ|バイリンガル育児の成功のためには英語を心から楽しむこと
日本の家庭でおうち英語をしていると「英語がどうしても必要な状況」って日常では作り出しにくいと思います。それにより子どもは「なぜ英語をやらなきゃいけないの?」とか「英語出来なくても困らないし。」という気持ちが出てきてしまうかもしれません。
「なぜ英語をやりたいのか」という意義を、子どもの中に見つけてあげることも、おうち英語をしているパパとママの大事な役割かもしれません。
そして、英語を楽しむことを常に忘れず、英語を通して楽しい経験をたくさん積み上げて、長く継続していきたいですね。